役員に関する登記の改正(H27.2.27-)

2015/01/23

2月下旬に商業登記規則改正が予定されていますが、登記の添付書類に関する重要な変更が含まれております。

■就任承諾書
(現行)
取締役会設置会社の場合、代表権のない取締役・監査役については住所・氏名等を証明する書類は不要。また、就任承諾書に住所の記載は不要。

(改正後)
就任承諾書に住所の記載が必要。また、就任承諾書記載の住所氏名が確認できる住民票(又はこれに準ずる公的証明書)の添付が必要。

《取締役等の「本人確認証明書」の例》

  • 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
  • 戸籍の附票
  • 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
  • 運転免許証等のコピー※

(※ 裏面もコピーし,本人が「原本と相違がない。」と記載して,記名押印する必要があります。)

※外国人の場合は、上記のほか、下記のものが本人確認証明書に該当します。
(外国語で記載されたものは日本語の訳文が必要)

  • 本国官憲(公証人等)作成のサイン証明書(住所の記載のあるもの)
  • 住所を記載して発行されたパスポートのコピーに当該役員が原本証明したもの
  • 運転免許証(住所の記載のあるもの)の表裏コピーに当該役員が原本証明したもの
  • 在留カードの表裏コピーに当該役員が原本証明したもの

■辞任届
(現行)
法務局に印鑑を登録した役員の辞任届に押す印鑑は、認印でOK。

(改正後)
法務局に印鑑を登録した役員の辞任届には個人の実印を押し、印鑑証明書(市区町村発行)を添付。但し、辞任届に法務局登録印を押した場合は、印鑑証明書不要。

この改正は、設立後の役員変更登記だけではなく、設立登記(会社分割等によるもの含む)についても適用されます。2月後半以降、登記を予定されている方はご注意ください。

■旧姓併記
役員就任の登記に当たり、戸籍上の氏名に加え、婚姻前の旧姓を記録するよう申し出ることができるようになります。この登記をする場合は、婚姻前の氏を証する書面(戸籍謄本等)を添付する必要があります。既に登記されている役員については、施行日から6月以内に限り、婚姻前の氏の記録の申出をすることができます。

施行日等、詳細がわかりましたら更新します。

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2015/2/3追記
施行日が平成27年2月27日となりました。
法務省のサイトでも発表されました(下記)。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
魚拓

就任承諾書の添付書類もアップデートしました。

債権譲渡登記における登記事項の事前提供方式始まる

2014/05/26

商業・法人登記においては既に行われていましたが、このたび債権譲渡登記においても、法務省登記・供託オンライン申請システムにより登記事項を事前提供することが認められることになりました。

開始は平成26年6月2日からです。

詳細はこちら

商業・法人登記においてはいまいち存在意義が薄い事前提供方式ですが、債権譲渡登記の場合は、事前提供すると、いくつかメリットが加わることになりました。

上記法務省のサイトでは、下記4点が利点として挙げられています。

(1) 登記申請(登記申請書の提出)の前に、登記事項の形式エラーのチェックが行われる。
(2) 希望があれば、登記申請前に、登記事項について事前相談を受けることができる。
(3) オンライン方式による場合と同様に、登記所の処理状況をオンラインで把握することが可能なので、登記手続の終了や登記番号を把握することができる。
(4) オンラインを利用するが、電子署名や電子証明書は不要。

1は、現状のようにCD-Rなどで登記事項データを提供する場合でも、法務省が提供しているチェックソフトでチェックは各自行っていると思います。ただ、チェック後CD-Rに焼くときにフォルダの有無でエラーになったりするため、多少のメリットはあるかと思います。

2は、別に事前提供方式でなくても相談を受けることができるので、メリットでもなんでもないような。。。
もしかしたらデータを事前提供することにより、申請前に具体的データを法務局の方が見ながら相談に乗れるのかもしれませんが、そもそも登記できるかどうかと、債権が本当に保全されるかどうかは債権譲渡登記の場合は別問題なので(不動産登記でも別問題ですが、債権譲渡登記は、より意義が薄い)、メリットと言えるのか微妙です。

3は、郵送で申請する人にとっては、完了のタイミングがわかってよいと思います。

4は、そもそも従来の申請方式で窓口に提出又は郵送すれば電子署名は不要です。電子署名をする必要がないというのは、既に電子証明書をもっている人には大してメリットではありません。新規に電子証明書を取得するとそれなりにコストがかかるので、そういう意味ではハードルが下がったということになりましょうか。

ついでに、磁気ディスクを提供する必要がないのでメディア代が浮くというメリットも挙げておきたいと思います(笑)

個人的には、すぐに窓口でフィードバックを受けられるのが有り難いので従来どおりデータはCD-Rに焼いて中野の法務局に持って行くことになると思います。

登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式

2014/05/12

今までオンライン申請をして登録免許税を電子納付した場合に、取下をすると登録免許税還付に関する委任状が別途なければ申請人本人に登録免許税が還付されていたのですが、司法書士が立て替えていたケースも多いと思います。

今後は登記の委任状に還付に関する文言があれば、別途委任状がなくても代理人に還付することができるようになりました。

具体的には「登記に係る登録免許税の還付金を受領すること」と記載します。

詳細は下記をご確認ください(NSR3にアップされています)。

「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(依頼)」〔平成26 年5 月9 日付法務省民二第274 号〕

「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(依頼)」〔平成26 年5 月9 日付法務省民事局民事第二課事務連絡〕

登記申請委任状様式〔平成26 年5 月9 日付法務省民二第274 号・別添様式〕

登記情報提供サービスにおいて市区町村を指定しない検索機能が追加されます(H26.2.3-)

2014/01/23

やっと、という感じですが、、、

今まで登記情報提供サービスにおいて市区町村を限定すれば商号等の一部から、該当する会社を検索したりすることができました。

これが、平成26年2月3日から、市区町村を指定せず、全国を対象に検索できる機能が追加されます。

「商業・法人請求」、「動産・債権(概要ファイル)請求」における検索機能の追加について

上記リリースのとおりですが、「商業・法人請求」及び「動産・債権(概要ファイル)請求」において、「商号・名称」、「商号・名称のヨミカナ」又は「会社法人等番号」により検索を行うことができるようになります。

次は24時間対応を切に望みます。

婚外子格差是正のための民法改正(H25.9.5-)

2013/11/13

平成25年9月4日に最高裁で嫡出子と非嫡出子(婚外子)で相続分に違いがあるのは違憲であるとの最高裁決定がなされたことを受け、「婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という民法900条4号但書を削除する民法の改正が検討されていましたが、今国会で成立する見込みとなりました。

平成25年9月5日以降に開始した相続について適用されるので、それ以前に発生した相続に関しては実務がはっきりせずしばらく混乱が生じそうです。

不動産登記については、平成25年9月4日の事務連絡のとおり、平成13年7月1日(*1)以降に発生した相続に関する登記で法定相続によるものについては、すべて法務省民事局が判断するため、現在、相談・登記ともに相当時間がかかっているようです。

*1 最高裁決定の中で、少なくとも平成13年7月1日には婚外子の相続に関して相続分に格差をつける根拠が失われていたとされたため、この日付となっています。

なお、税務の扱いについては国税庁が下記のリリースを出しています。
相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

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平成25年12月11日施行されました。

平成25年4月1日以降の登録免許税(商業・法人登記)

2013/03/08

商業登記についても法務省からリリースがありました。

設立登記等で登録免許税が3,000円減額されていた措置が平成25年3月31日をもって廃止になります。

会社設立をお考えの方は今月中に設立登記をしたほうが3,000円安く設立できます。

平成25年4月1日以降の登録免許税(不動産登記)

2013/03/05

平成25年4月1日以降の不動産登記の登録免許税は下記のようになる予定です(現在審議中ですので、もし変更があった場合は再度ご案内いたします)。

<租税特別措置法第72条関係>

適用期限の2年延長(平成25年3月31日→平成27年3月31日)

現在、土地の売買による所有権移転登記の登録免許税は通常の税率1000分の20ではなく1000分の15に軽減されていますが、これが平成平成27年3月31日まで延長される見込み。

<租税特別措置法第84条の5関係>

特別控除の廃止(平成25年3月31日をもって廃止)

オンライン申請をすると所有権移転登記等で10%(限度額3,000円)減税されていた措置が廃止。

cf.法務省のリリース

登記事項証明書等の手数料の引下げ(H25.4.1-)

2013/03/04

平成25年4月1日から登記手数料が値下げされます。

法務省のリリース)※PDFです。

不動産・商業・法人登記の登記事項証明書と、地図等証明書、印鑑証明書等の取得手数料が対象です。詳細は上記リリースをご覧ください。

普段司法書士として頻繁に利用する謄本等の手数料は下記のとおりです。

登記事項証明書(窓口) 700円→600円
登記事項証明書(オンライン請求・送付) 570円→500円
登記事項証明書(オンライン請求・窓口交付) 550円→480円
登記事項要約書交付・登記簿等の閲覧(窓口のみ) 500円→450円
印鑑証明書(窓口) 500円→450円
印鑑証明書(オンライン請求・送付) 460円→410円
印鑑証明書(オンライン請求・窓口交付) 440円→390円
地図等情報(窓口) 500円→450円
地図等情報(オンライン請求・送付) 500円→450円
地図等情報(オンライン請求・窓口交付) 500円→430円

併せてインターネットの登記情報提供サービスの手数料も値下げされます。

登記情報提供サービス(全部事項) 397円→337円
登記情報提供サービス(不動産所有者事項) 147円(変更なし)
登記情報提供サービス(地図等) 427円→367円
動産・債権譲渡登記の登記事項概要ファイルに記載されている情報 187円→147円

過去の手数料変遷については、当時の記事もご覧ください。

家事事件手続法が施行されました

2013/02/20

紹介するのが遅くなりましたが、平成25年1月1日から家事事件手続法が施行されています。従来は家事審判法と呼ばれていましたが、条文を一新してわかりやすくし、テレビ会議など現代的な手続を盛り込んだものとなっています。

一例を挙げると、

・申立書写しの送付
相手が申立ての内容を理解して調停等に臨めるよう、原則として申立書の写しを事件の相手方に送付することになりました。送付して欲しくないときは申立書にその旨記載しておきます。

・「甲類」「乙類」の用語廃止
別表1、別表2という呼び方になりました。別表1は調停ができない手続で、別表2は調停ができる手続です。

・管轄の規定
今までは規則に規定されていてわかりにくかったのが、法律に規定されました。

・取り下げ
原則として審判があるまで取り下げ可能です(家事事件手続法(以下「法」)82条)。
例外がいくつか規定されていますが、個人的に気になったのが、成年後見(法121条)・保佐(法133条)・補助(法142条)の申し立ての際には、審判がされる前でも、家庭裁判所の許可がなければ取り下げができないこととされた点です。従来は審判があるまで取り下げができたため、自分の希望する人が後見人に選ばれないとわかった時点で取り下げてしまうケースが多かったようで、それを防ぐ意味合いがあります。成年後見(保佐・補助)の手続はあくまで被成年後見人(被保佐人・被補助人)のためにありますので、そういった観点から裁判所が判断するということでしょう。

・記録閲覧制度
当事者ならば原則として閲覧・謄写の許可が得られるものとされました。よって、DV事案等で相手に記録を見せたくない場合は、事前に非開示の申し出をしておく必要があります。

・電話会議・テレビ会議
利用できることが法律に明記されました。
但し、離婚・離縁の成立期日には利用できないなどの例外もあります。

・調停申立「後」審判移行「前」に保全処分が可能に
保全処分ができるようになりました(法105条)。財産分与の調停中などに、相手の財産の保全ができます。

また、裁判所のHPの様式も新様式に更新されています(例えば東京家裁の手続案内)。

犯罪収益移転防止法の改正(平成25年4月1日施行)

2012/12/27

平成25年4月1日付で犯罪収益移転防止法の改正があります。

運転経歴証明書や外国人の在留カードなどを本人確認書類に加えるほか、ハイリスク取引の場合には通常より念入りに確認しなければならなくなります。

具体的には、警察庁のサイトで説明されているほか、パンフレットも既に改正法対応版がダウンロード可能です。

ハイリスク取引の類型は上記のサイトに説明がありますが、例えば下記に該当する取引です。

・過去の契約の際に確認した顧客又は代表者等になりすましている疑いがある取引
・過去の契約時の確認の際に確認事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引
・イラン・北朝鮮に居住、所在する者との取引

なりすましの疑い・・・といっても勘でそう思うからという理由だけで通常より念入りにやりますと言うと怒り出す方もいるでしょうし、通常より念入りにやるということは疑ってますよと顧客に言うのと同義ですから、なかなか難しいところです。

そもそもがザル法なので本当はそこを直したほうがいいと思うのですが。。。