会計限定監査役であることが登記事項になりました(H27.5.1-)

2015/04/13

平成27年5月1日から、いくつか会社法及び関連登記の改正が予定されていますが、中小企業に関連する部分について、こちらのブログでも紹介していきます。

株式会社の監査役については、監査範囲が会計に限定されている監査役と、業務監査も含め監査する監査役の2種類あります。

会社法施行以前は、資本金1億円未満の会社であれば会計限定監査役と決まっていて、会社法施行後もその状態は引き継がれているので、あまり意識していない方も多いかと思います。

今まで、監査役の監査権限が会計限定なのか、業務監査も含むかについては登記事項ではなかったので、登記簿からはわかりませんでした。

ですが、株主代表訴訟をする場合に、業務監査も含む権限のある監査役がいる場合には、監査役を相手に訴訟をする必要があります。登記簿だけではわからないので、会社に定款の閲覧を求めたりして確認しますが、会社が簡単に定款の閲覧を認めないことも考えられます。こういった不都合を解消するために、監査役が会計限定監査役であることが登記事項になりました。何も記載がなければ、業務監査も行う監査役ということになります。

なお、この登記は、法律の施行後最初に監査役が就任または退任するまでは猶予されていますので、金銭的な追加負担はありません。監査役の登記の場面でなくても、その前に(取締役の登記の場面など)この「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する」旨の登記をすることはもちろん可能です。

登記情報提供サービスにおける「地番検索サービス」の実施について

2015/03/31

東京情報提供サービスにおいて、住居表示からおおよその地番を検索することができるサービスが始まります。今までも管轄法務局に電話して調べてもらうことができましたが、それがオンラインでできることになり、便利になりそうです。精度は始まってみてのお楽しみでしょうか(^_-)

東京23区内は平成27年4月30日からサービスを開始し、平成27年7月1日からは全国433市区町へサービス提供地域が拡大されます。

法務省の案内ページはこちら(魚拓)。

株式会社の代表取締役の居住者要件廃止(H27.3.16-)

2015/03/16

平成27年3月16日より、内国株式会社の代表取締役の居住者要件が廃止されました(法務省ページ)。

詳細がわかりましたら再度ご案内いたしますが「株式会社」と限定しているところからして株式会社のみの規制緩和と思われます。

合同会社の代表社員(代表社員が法人の場合はその職務執行者)については、1名以上が日本に住所を有する者でなくてはならないという決まりはそのままのようです。

なお、外国会社の営業所(支店)については、のちのちの規制緩和はあるかもしれませんが、会社法で居住者要件が規定されているため、株式会社のように通達を廃止するだけではできません。当面は従来のままとなります。

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2015/10/29追記
株式会社だけではなく、合同会社の場合でも居住者は不要になりました。特に法令に規定がなければ他の法人も同様です。

登記識別情報通知の様式変更(H27.2.23-)

2015/01/27

平成27年2月23日より、登記識別情報の通知の際に、新たにQRコードが追加されます。

QRコード追加見本

登記識別情報通知書の様式の変更等について(法務省サイト)

また、現在、登記識別情報通知書の登記識別情報が記載されている部分には目隠しシールが貼られていますが、これが折り込み方式(用紙下部を折り込んで縁を糊付けする方式)に変更されます。こちらの変更は、一斉にではなく、平成27年2月23日以降、徐々に導入されます(法務局により導入時期が異なります)。

目隠しシール方式はシールが剥がれにくいためトラブルもありシールの種類を変えたりといった対応もされましたが、根本的な解決には至らなかったということでしょうかね。

役員に関する登記の改正(H27.2.27-)

2015/01/23

2月下旬に商業登記規則改正が予定されていますが、登記の添付書類に関する重要な変更が含まれております。

■就任承諾書
(現行)
取締役会設置会社の場合、代表権のない取締役・監査役については住所・氏名等を証明する書類は不要。また、就任承諾書に住所の記載は不要。

(改正後)
就任承諾書に住所の記載が必要。また、就任承諾書記載の住所氏名が確認できる住民票(又はこれに準ずる公的証明書)の添付が必要。

《取締役等の「本人確認証明書」の例》

  • 住民票記載事項証明書(住民票の写し)
  • 戸籍の附票
  • 住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
  • 運転免許証等のコピー※

(※ 裏面もコピーし,本人が「原本と相違がない。」と記載して,記名押印する必要があります。)

※外国人の場合は、上記のほか、下記のものが本人確認証明書に該当します。
(外国語で記載されたものは日本語の訳文が必要)

  • 本国官憲(公証人等)作成のサイン証明書(住所の記載のあるもの)
  • 住所を記載して発行されたパスポートのコピーに当該役員が原本証明したもの
  • 運転免許証(住所の記載のあるもの)の表裏コピーに当該役員が原本証明したもの
  • 在留カードの表裏コピーに当該役員が原本証明したもの

■辞任届
(現行)
法務局に印鑑を登録した役員の辞任届に押す印鑑は、認印でOK。

(改正後)
法務局に印鑑を登録した役員の辞任届には個人の実印を押し、印鑑証明書(市区町村発行)を添付。但し、辞任届に法務局登録印を押した場合は、印鑑証明書不要。

この改正は、設立後の役員変更登記だけではなく、設立登記(会社分割等によるもの含む)についても適用されます。2月後半以降、登記を予定されている方はご注意ください。

■旧姓併記
役員就任の登記に当たり、戸籍上の氏名に加え、婚姻前の旧姓を記録するよう申し出ることができるようになります。この登記をする場合は、婚姻前の氏を証する書面(戸籍謄本等)を添付する必要があります。既に登記されている役員については、施行日から6月以内に限り、婚姻前の氏の記録の申出をすることができます。

施行日等、詳細がわかりましたら更新します。

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2015/2/3追記
施行日が平成27年2月27日となりました。
法務省のサイトでも発表されました(下記)。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
魚拓

就任承諾書の添付書類もアップデートしました。

債権譲渡登記における登記事項の事前提供方式始まる

2014/05/26

商業・法人登記においては既に行われていましたが、このたび債権譲渡登記においても、法務省登記・供託オンライン申請システムにより登記事項を事前提供することが認められることになりました。

開始は平成26年6月2日からです。

詳細はこちら

商業・法人登記においてはいまいち存在意義が薄い事前提供方式ですが、債権譲渡登記の場合は、事前提供すると、いくつかメリットが加わることになりました。

上記法務省のサイトでは、下記4点が利点として挙げられています。

(1) 登記申請(登記申請書の提出)の前に、登記事項の形式エラーのチェックが行われる。
(2) 希望があれば、登記申請前に、登記事項について事前相談を受けることができる。
(3) オンライン方式による場合と同様に、登記所の処理状況をオンラインで把握することが可能なので、登記手続の終了や登記番号を把握することができる。
(4) オンラインを利用するが、電子署名や電子証明書は不要。

1は、現状のようにCD-Rなどで登記事項データを提供する場合でも、法務省が提供しているチェックソフトでチェックは各自行っていると思います。ただ、チェック後CD-Rに焼くときにフォルダの有無でエラーになったりするため、多少のメリットはあるかと思います。

2は、別に事前提供方式でなくても相談を受けることができるので、メリットでもなんでもないような。。。
もしかしたらデータを事前提供することにより、申請前に具体的データを法務局の方が見ながら相談に乗れるのかもしれませんが、そもそも登記できるかどうかと、債権が本当に保全されるかどうかは債権譲渡登記の場合は別問題なので(不動産登記でも別問題ですが、債権譲渡登記は、より意義が薄い)、メリットと言えるのか微妙です。

3は、郵送で申請する人にとっては、完了のタイミングがわかってよいと思います。

4は、そもそも従来の申請方式で窓口に提出又は郵送すれば電子署名は不要です。電子署名をする必要がないというのは、既に電子証明書をもっている人には大してメリットではありません。新規に電子証明書を取得するとそれなりにコストがかかるので、そういう意味ではハードルが下がったということになりましょうか。

ついでに、磁気ディスクを提供する必要がないのでメディア代が浮くというメリットも挙げておきたいと思います(笑)

個人的には、すぐに窓口でフィードバックを受けられるのが有り難いので従来どおりデータはCD-Rに焼いて中野の法務局に持って行くことになると思います。

登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式

2014/05/12

今までオンライン申請をして登録免許税を電子納付した場合に、取下をすると登録免許税還付に関する委任状が別途なければ申請人本人に登録免許税が還付されていたのですが、司法書士が立て替えていたケースも多いと思います。

今後は登記の委任状に還付に関する文言があれば、別途委任状がなくても代理人に還付することができるようになりました。

具体的には「登記に係る登録免許税の還付金を受領すること」と記載します。

詳細は下記をご確認ください(NSR3にアップされています)。

「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(依頼)」〔平成26 年5 月9 日付法務省民二第274 号〕

「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について(依頼)」〔平成26 年5 月9 日付法務省民事局民事第二課事務連絡〕

登記申請委任状様式〔平成26 年5 月9 日付法務省民二第274 号・別添様式〕

登記情報提供サービスにおいて市区町村を指定しない検索機能が追加されます(H26.2.3-)

2014/01/23

やっと、という感じですが、、、

今まで登記情報提供サービスにおいて市区町村を限定すれば商号等の一部から、該当する会社を検索したりすることができました。

これが、平成26年2月3日から、市区町村を指定せず、全国を対象に検索できる機能が追加されます。

「商業・法人請求」、「動産・債権(概要ファイル)請求」における検索機能の追加について

上記リリースのとおりですが、「商業・法人請求」及び「動産・債権(概要ファイル)請求」において、「商号・名称」、「商号・名称のヨミカナ」又は「会社法人等番号」により検索を行うことができるようになります。

次は24時間対応を切に望みます。

婚外子格差是正のための民法改正(H25.9.5-)

2013/11/13

平成25年9月4日に最高裁で嫡出子と非嫡出子(婚外子)で相続分に違いがあるのは違憲であるとの最高裁決定がなされたことを受け、「婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という民法900条4号但書を削除する民法の改正が検討されていましたが、今国会で成立する見込みとなりました。

平成25年9月5日以降に開始した相続について適用されるので、それ以前に発生した相続に関しては実務がはっきりせずしばらく混乱が生じそうです。

不動産登記については、平成25年9月4日の事務連絡のとおり、平成13年7月1日(*1)以降に発生した相続に関する登記で法定相続によるものについては、すべて法務省民事局が判断するため、現在、相談・登記ともに相当時間がかかっているようです。

*1 最高裁決定の中で、少なくとも平成13年7月1日には婚外子の相続に関して相続分に格差をつける根拠が失われていたとされたため、この日付となっています。

なお、税務の扱いについては国税庁が下記のリリースを出しています。
相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)

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平成25年12月11日施行されました。

平成25年4月1日以降の登録免許税(商業・法人登記)

2013/03/08

商業登記についても法務省からリリースがありました。

設立登記等で登録免許税が3,000円減額されていた措置が平成25年3月31日をもって廃止になります。

会社設立をお考えの方は今月中に設立登記をしたほうが3,000円安く設立できます。