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ストックオプションを設計するときまず一番に考えるのは、税制適格ストックオプションとするかどうかでしょうか。
ストックオプションは報酬と似た性格を持つものですので、
- 付与されたとき(取得時)
- 行使して株を取得したとき(権利行使時)
- 株を売却してお金を受け取ったとき(株式譲渡時)
以上3つの段階で課税される可能性があります。お金が入るのは最後の株を売却したときだけですから、全部の段階で課税されるというのは違和感を感じるかもしれません。税制適格ストックオプションとすることにより、最後の段階で売却して利益があるときだけ税金を払えばよくなります。
- 税制適格ストックオプション(新株予約権)の要件は次のとおりです。
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1.対象者は、付与決議をした会社か関連会社の取締役・従業員またはその相続人であり、大口株主(未公開会社で3分の1超を保有)やその配偶者等特別の関係にある者を除く。
2.1年間に行使できる金額が1200万円以下であること。
3.付与決議後2年経過しないと行使できず、10年以内に行使しなければならないもの。
4.行使価格が新株予約権発行時の時価以上であること。
5.発行価額が無償であること。
6.当該新株予約権が譲渡禁止となっていること。
7.当該新株予約権の行使に係る株式の交付が会社法第238条第1項に反しないこと。
8.会社と金融商品取引業者等の間で、株主名簿管理契約を締結していること。
9.行使の際、権利者が会社に租税特別措置法第29条の2第2項の誓約書等を提出。
10.上記の書類を会社が保管。
11.付与した翌年の1月末までに税務署に調書を提出。 (上記は概要をまとめたものですので、実際に契約書等を作る際は、必ず租税特別措置法第29条の2と同法施行令第19条の3をご確認ください)
そのほか、検討すべき点の例を挙げます。
★誰に
どのような基準で従業員や役員にストックオプションを割り当てるか、不公平感が出ないよう考えます。
★いつ
IPO準備会社にとっては資本政策との関係で重要です。ストックオプションを発行する会社は業績が伸びている(=株式の時価が上昇し続けている)ことが多いと思います。税制適格ストックオプションでは行使価格を時価以上とする必要がありますので、通常は初期に付与するほど行使価格を安くすることができます。逆に上場直前では行使価格をそれなりの価格に設定せざるを得ないでしょう。ただ、早い時期に付与されたストックオプションは上場後の値上がり益が多く見込めますが、その分行使できるようになるまで時間もかかりますし、そもそも上場できるかどうかは直前までなかなかはっきりしないものではあります。
★いくらで(価格)
税制適格ストックオプションでは株式の時価以上である必要がありますので、会計の専門家と相談して行使価格を決める必要があります。
★いくつ
どれだけストックオプションを割り当てるかは、税制適格・資本政策・従業員のモチベーションなど様々な面を考慮して決める必要があります。
★ベスティング
ストックオプションを一気に行使できるようにせずに、行使時期に制限を設けることをベスティングと呼んでいます。税制適格の関係では、1年の行使額が1200万円以下である必要があります。また、優秀な社員が上場後一気にストックオプションを行使して現金化し辞めてしまっても困るので、もっと低い額で年間の行使限度額を定めることもあります。また、上場するまで行使できないという条項もよくあります。
★ストックオプションの相続
ストックオプションを会社に貢献してくれた社員に対する一身専属的な報酬・会社に引き留めておくための手段と考えれば、付与された社員が亡くなった場合にストックオプションが相続されないとしたほうが理にかなうかもしれません。貢献してくれた社員の家族への報酬も兼ねると考えれば、ストックオプションの相続を認めることになるでしょう。また、VCや機関投資家でない会社側の議決権確保という意味では、相続を認めたほうが多少会社に有利かもしれません(但し、相続人がどのような意思で権利を行使するかはわかりません)。いずれにしても付与の際に定めます。
★合併等企業再編においての扱い
付与された側の立場からすれば、ストックオプション発行会社が合併により消滅した場合は、存続会社の新株予約権をもらえることになっていたほうが望ましいでしょう。しかし、上場がなかなか難しくなっている昨今、投資家の出口戦略として上場以外に第三者への会社の売却も有力な選択肢であります。会社を買収する側からすると、あまり余計な負担のある会社は魅力が薄れることになりますので、合併等での新株予約権引継条項がなければ買収が成立したのに、引継条項があったために買収が不成立ということも考えられます。慎重に検討する必要があります。
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