動産・債権譲渡登記

債権譲渡登記とは?

債権(売掛金、報酬債権、貸金など)は、譲渡してお金に換えることができる、いわば財産です。従来、これを譲渡するためには第三債務者(譲渡対象債権の債務者)に内容証明郵便で通知をするか、承諾書にハンコを押してもらう必要がありました。

債権を担保に提供するにあたり、上記のように手続が煩雑であると、せっかく担保価値があるのに利用がされにくくなります。債権譲渡登記により、簡単に債権譲渡の対抗要件(第三者に自分が担保権者だと主張するための要件)を備えることができるようになりますので、債権を担保にして資金調達をしたり、債権保全がしやすくなります。

平成17年10月3日から、動産の譲渡についても、動産譲渡登記ができる制度が新設されました。

メリット

債務者にとって、通常の債権譲渡により債権を担保に提供すると、取引先(第三債務者)に債権譲渡の通知が届いてしまうため、経営状況が思わしくないのではないかと勘ぐられてしまうおそれがありました。債権譲渡登記であれば実際に債務を支払えなくなるまで通知を保留してもらうことが容易になります(=取引先に知られません)。債権者としても、簡単な手続(債権譲渡登記をするだけ)で対抗要件を備えることができるというメリットがあります。

また、通常はお金を貸す(借りる)際の担保というと不動産が代表的ですが、不動産以外も担保にできるメリットもあります。

デメリット

法務局で債権譲渡登記事項概要ファイルを請求すれば、誰でも対象会社に関し債権譲渡登記がなされているか確認することができますので、調べようとすれば債権譲渡登記がなされているか調べることができます。ただ、従来のように商業登記簿と一体ではなくなりましたので、わかりにくくなりました。

担保権実行の方法

債権譲渡登記はあくまで第三者に対する対抗要件を備えるだけですので、実際に債権を回収するにはまず第三債務者(債務者の取引先)に内容証明郵便で通知をするか、承諾書に第三債務者の捺印をもらい、公証役場で確定日付を受ける必要があります。詳細については、ご相談ください。

債権譲渡登記における各証明書の違い

債権譲渡登記に関して取得可能な証明書はいくつかあります。各証明書の違いは次のとおりです。

名称取得場所請求権者記録される事項
登記事項概要証明書債権譲渡登記所(中野)誰でも可 譲渡人、譲受人、登記原因及びその日付、債権の総額等
登記事項証明書債権譲渡登記所(中野)債権の譲渡人、譲受人他利害関係人(代理人の場合は委任状が必要)登記されたすべての事項(但し、第三債務者ごとの証明書は、当該第三債務者に関するもののみ)※1
概要記録事項証明書譲渡人又は質権設定者の本店所在地管轄の登記所誰でも可 譲渡人又は質権設定者に対し、債権譲渡登記がされているか、いくつ登記がされているかがわかる程度
※1 登記ごとに、全第三債務者の記録を一括して印刷した証明書と、第三債務者ごとの証明書を取得可。第三債務者に対する対抗要件具備のためには、第三債務者ごとの証明書が必要。

債権譲渡登記に関する判例

(リンクをクリックすると裁判所のウェブサイトへ飛びます)

最判平成14年10月10日・・・一定の期間に発生する債権を担保する場合には、債権発生の始期と終期両方を登記しなければならないところ、始期のみしか登記されなかった場合に、始期当日以外の日に発生した債権の譲受けは債務者以外の第三者に対抗できないとされた事例。

東京高判平成13年11月13日
・・・債権の種類が報酬債権であるところ、売掛債権として登記した債権譲渡登記は、報酬債権としての対抗力はないとした事例

改正情報

平成23年2月14日から、「申請データ」を記録する媒体として、FD、MO、CD-Rに加えてCD-RWを利用することができるようになっています。

TOPへ戻る