債務者の保有不動産の情報提供を受けることができるようになります(2021.5.1-)

2021/03/05

令和元年11月27日に公布された「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第2号)により改正された民事執行法第205条第1項において、債務名義を有する債権者が裁判所に申立てをし、登記所から債務者が所有権の登記名義人である不動産等に関する情報を取得することができる制度が創設され、施行日が令和3年5月1日とされました。

これにより、債務名義等を持っていれば、債務者が保有している不動産の情報提供を受けることができるようになります。

具体的手続については、裁判所のサイト(第三者からの情報取得手続を利用する方へ)でご確認ください。

改正後の民事執行法
 (債務者の不動産に係る情報の取得)
第205条 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、それぞれ当該各号に定める者の申立てにより、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるものに対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるものについて情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、第1号に掲げる場合において、同号に規定する執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
 一 第197条第1項各号のいずれかに該当する場合 執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者
 二 第197条第2項各号のいずれかに該当する場合 債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
2 前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第二百条第一項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から3年以内に限り、することができる。
3 第1項の申立てを認容する決定がされたときは、当該決定(同項第2号に掲げる場合にあつては、当該決定及び同号に規定する文書の写し)を債務者に送達しなければならない。
4 第1項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第1項の申立てを認容する決定は、確定しなければその効力を生じない。

※当初令和3年4月1日と記載していましたが、令和3年5月1日に訂正いたしました。

オンラインによる印鑑の提出・廃止(2021.2.15-)

2021/02/15

2021/2/15に商業・法人登記オンライン申請システムの変更がありましたが、印鑑の提出・廃止の詳細について法務省のアナウンスがありました。

オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(魚拓)

今まで印鑑の提出については頑なに書面での提出にこだわっていた法務省ですが、完全オンライン化へ各方面から要求が厳しいのでしょうか、ここへきてオンラインでの提出を認めることになりました。但し、通常の印鑑届書ではなく、オンライン専用の印鑑届書で届ける必要があります(様式は上記サイトにひな型があります)。

会社法改正(2021.3.1-)

2021/02/04

「会社法の一部を改正する法律」(2019年12月4日成立、同月11日公布)における改正を踏まえ、関連する法務省関係政令及び会社法施行規則、会社計算規則その他法務省令の改正が行われます。

原則として、改正法の施行日(2021年3月1日)から施行されますが、一部経過措置が設けられています。

1 株主提案権の濫用的な行使を制限するため、株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数の制限

2 上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定めなければならないこととするとともに、上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととするなどの規定の新設

3 役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償することを約する補償契約や、役員等のために締結される保険契約に関する規定の新設

4 上場会社等に社外取締役を置くことを義務付け

5 会社から委託を受けた第三者が、社債権者による社債の管理の補助を行う制度(社債管理補助者制度)を創設

6 組織再編の新たな手法として株式交付制度の新設

法務省のサイトに少し詳しい説明があります。

私としては6が一番仕事とからみそうで気になるところです。

商業登記オンライン申請の改正(2021.2.15-)

2021/01/29

令和3年2月15日に商業登記規則等の一部を改正する省令が施行されることにより、同日から、

 1 オンライン申請の場合には、印鑑の提出が任意になります。
 2 印鑑届書の提出及び商業登記電子証明書の請求が、オンラインで行えるようになります。
 3 登記の申請や印鑑証明書の請求などで使用することができる電子証明書の種類が広がります。

ついでに、「スーパー・ファストトラック・オプション」(定款認証・設立登記のオンライン同時申請)も同日から利用可能になります。

印鑑を提出しない場合に、商業登記電子証明書ではなく、マイナンバーカードに格納した代表者個人の電子証明書で申請ができるようになったり、今よりはだいぶ融通が利くようになります。

詳細は法務省のリリースをご覧ください。

2020.4.1施行の民事法改正

2020/04/17

本年4月1日はちょっとした改正ラッシュです。
民事法関係は下記のとおりです(法務省の説明サイトへのリンク)。

<民法>
民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
民法等の一部を改正する法律(特別養子関係)について

<民事執行法>
民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律について

テレビ電話を利用した定款認証の利用促進(2020.5.11-)

2020/04/17

テレビ電話方式による定款認証は、公証役場に行かなくてよいというメリットがありましたが、発起人が電子証明書を持っている必要があったためなかなか利用が進みませんでした。

委任状及び印鑑証明書が郵送されており、テレビ電話等を利用する時点で原本確認が可能な場合にも、テレビ電話等の利用を可能にするという改正省令が令和2年7月6日施行予定とされていましたが、前倒しで令和2年5月11日から施行されることになりました。

電子定款だけでなく、電子私署証書の場合でも利用可能です。

(情報元)
日司連専発第11号
令和2年(2020年)4月9日

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その後法務省からもリリースが出ました。
定款認証を含む電磁的記録の認証手続について,より広くテレビ電話等を利用して行うことが可能となりました

不動産登記申請で、会社等の印鑑証明書が添付不要に(2020.3.30-)

2020/03/30

不動産登記規則が改正され、3月30日から、会社法人等番号を提供した場合は、印鑑証明書の添付が不要になります。

また、会社法人等番号の提供を要しない場合において提供される登記事項証明書は、作成後1月以内のものでなければならないと定められているところ、作成後3月以内のものでよくなります。

例え印鑑証明書の添付が不要となっても、司法書士等が代理申請する場合は印影を確認する必要がありますので、自分で登記する場合以外は、印鑑証明書が必要なことに変更はないと思われます。

完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」(2020.3.17-)

2020/03/11

令和2年3月17日より、完全オンライン申請による株式会社と合同会社の設立登記につき、24時間以内に終わらせる試みが始まります。

完全オンラインなんて何人使うかわかりませんが、日本でも会社設立は24時間でできる仕組みになってますよと(完全オンラインだけですが)、何が何でもアピール(海外に?)したいのでしょうか。

合同会社はよいとして、株式会社は払込証明書に会社実印(法務局に登録予定の印鑑)を押さないといけませんが、このあたりもマイナンバーカードの電子署名でいいよという通達でも出るのでしょうか。

なお、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)による商業登記法(昭和38年法律第125号)第20条等の規定を削除する改正(印鑑提出の任意化)の施行前においては、印鑑届書が提出されるまで登記が完了しません。

完全オンライン申請による法人設立登記の「24時間以内処理」を開始します(法務省)

商業登記電子証明書における再発行制度等の開始(2020.3.9-)

2020/02/07

今まで法務局が発行する電子証明書は登記事項に少しでも変更があると失効していたため、長期間有効な証明書を発行することにはリスクがありました。

2020年3月9日から、電子証明書を申請している代表者に実質的変更がなければ、変更登記をして一度失効したとしても、残存期間の電子証明書を無料で再発行してもらえることになりました。

法務省のチラシ(PDF)

※氏名の変更で失効した場合は同一人とみなして再発行OKのようです。
※3月9日より前に失効した場合でも、3月9日以降も(変更がなければ)有効な電子証明書であれば、再発行可能のようです。

同時に、電子証明書の発行の請求・使用の廃止の届出・使用再開の届出・識別符号の変更の届出における印鑑カードの提示・送付を不要とする改正も予定されています。

QRコード付き書面申請の開始と登記事項証明書(不動産登記)の様式変更(2020.1.14-)

2019/12/02

やや唐突な印象を受けるのですが、2020年1月14日から標題の改正があります。

1) QRコード(二次元バーコード)付き書面申請

電子証明書を持っていない方(個人・法人)でも、法務省の申請用総合ソフトを利用することで、QRコード付き書面申請ができます。メリットとしては、進捗がオンラインで確認できたり、完了時等に通知メールがもらえるなど。

電子証明書で署名するタイプのオンライン申請でも、結局添付書類を法務局に送るか持ち込むかするので、申請工程は似たような感じになりますね。ただ、資格者が代理人として申請する場合に使うと、資格者かどうか電子証明書で判別できないので、どうなんだろうという気もします(欄外に職印を押せばよいのでしょうが)。

2) 登記事項証明書(不動産登記)の様式変更

不動産登記の登記事項証明書に、物件を特定するための情報としてQRコードが付くようになります。

法務省のリリース

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2020/1/16追記
法務局から詳細のリリースが出ました(下記)。

QRコード(二次元バーコード)付き書面申請の開始と登記事項証明書(商業・法人登記)の様式変更について

QRコード(二次元バーコード)付き書面申請の開始と登記事項証明書(不動産登記)の様式変更について