‘民法’ カテゴリーのアーカイブ

親権に関する民法改正

2010/08/11

現行民法における親権の制限については、親権全部の喪失(一部の制限としては管理権の喪失)制度しかなく、オールオアナッシングで影響が大きいこと、また、親権を一時的に制限する制度がないことから、親権に関する民法改正が予定されています。現在下記ページで意見募集中です。

「児童虐待防止のための親権に係る制度の見直しに関する中間試案」に関する意見募集

詳細は上記ページを見ていただくとして、要点は以下のとおりです。

1) 親権の制限の全体的な制度の見直し(親権の一時的制限制度、一部制限制度の創設)
2) 親権を行うことができないようにするのとは異なる方法による実質的親権制限の制度(家庭裁判所による同意に代わる許可)創設
3) 未成年後見制度の見直し(法人による未成年後見、複数の未成年後見人を選任できるようにする)

法律案は、平成23年の通常国会に提出予定です。

2011/6/17追記
公布日は平成23年6月3日であり、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

法案内容に関する法務省のページ

2012/1/4追記
施行日は平成24年4月1日となりました。また、裁判所HPに下記のとおりPDF資料が掲載されております。

民法等の一部改正と新しい親権制限の制度-児童虐待を防ぐために-

利息制限法改正

2010/06/07

平成22年6月18日から、利息制限法改正の条文が施行されます。

現行の利息制限法の第1条は下記のとおりですが、

(利息の最高限)
第一条  金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
元本が十万円未満の場合          年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合     年一割八分
元本が百万円以上の場合          年一割五分
2  債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。

第2項が削除されます(判例により既に空文化されていましたが)。

また、営業的金銭消費貸借の特則が第5条以降に新設されました。

法務省の要点解説はこちら

要するに今の裁判所の解釈を条文に盛り込んだというところです。

(民法ではありませんが重要な民事法なので取り上げました)

夫婦別姓等に関する民法改正

2010/02/24

法務省が2月19日に選択的夫婦別姓制度を柱とする民法改正案を提示し、3月12日の閣議決定を目指すという報道がありました。

夫婦別姓自体は民主党が以前から推進していた内容ですが、ここへきての動きは少し急な気がいたします。

法案は平成8年に出した答申と同じということなので、これでしょうか。

改正のポイントは下記のとおりです(47newsから引用)。

一、夫婦は婚姻時に同姓か別姓かを決定。
一、決定後は同姓から別姓、別姓から同姓への転換は不可。
一、別姓夫婦の子どもの姓は夫婦いずれかに統一。
一、改正法施行前の夫婦は施行後1年以内は別姓に変更できるが、子どもの姓はそのまま。
一、婚外子への相続を嫡出子の2分の1とした現行規定を撤廃して同一化。
一、現行6カ月の女性の再婚禁止期間を100日に短縮。
一、女性が結婚できる年齢を「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げ。
一、裁判上の離婚原因に「婚姻の本旨に反する5年以上の継続別居」を追加。